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リスカ少女とトラウマ少年の現代ホラーにしてメルヒェン。
主題は『友達』と『家』、引用される伝承は「ヘンゼルとグレーテル」
電撃では珍しくホラー路線を地でいく鬼才・甲田学人先生の新シリーズ2本目。
相変わらず、感覚に訴えてくる残酷さと痛みは健在です。

断章のグリム (2)断章のグリム (2)
甲田 学人

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今回はリスカ少女・雪乃の友人を中心に話が回っています。
うう、Missing(AA)の時からそうだけど、登場人物の周りの人たち(割と善良)が容赦なく巻き込まれてしまうのが甲田ワールドと言うことを再認識。
ホラー物から学園異能物へと路線変更したため、その雰囲気に戸惑わされましたが、これはコレでアリかな、と。
キャラが掘り下げられた、読み手がこなれてきたっていうのが大きいのでしょうが、1巻よりはすんなりと物語を楽しめた気がします。
前述のMissingでは無力な人間が怪異の驚異に翻弄されるという道筋こそが恐怖をかき立ててくれていたため、異能という対抗手段がある分その辺りはちょっと薄めになってしまったかなぁ、というのは正直な感想。
それでも一連の怪異シーンは相変わらず不気味、生理的に厭な所を的確についてきます。
これに匹敵する書き手はラノベ界では中々いないような気がします。


モチーフは最初から「ヘンゼルとグレーテル」と宣言されていたので誰がどの配役に当たるのか、どんな結末迎えるのか結構真剣に悩んでしまいました。
あれが魔女にもあたる存在である、って言う所までは行けたのですが、そっから先が分からなかったわけです。彼女が犠牲になるのは、最早規定事項だったけれども、どうやって彼女が被害者になるのか、そこへの流れが中々上手い方法で繋いでいると思いました。
そこへ辿り着く推理の過程も丁寧に書かれ、怪奇探偵モノとしてもいけるんじゃないかと思ったり。
そういや、このシリーズの設定とMissingのそれは同じモノを別の見方から書いてるんですよね。空目・あやめと同等の力を持った人たちが今回は主役に立ってるわけですな。
場が静寂に包まれ、冷たい冷気が流れ込んでくるシーンが出てきたら覚悟しましょう((;゚Д゚)ガクガクブルブル


さて「殺すわよ」が口癖で連発してくれたヒロイン・雪乃ですが、これって立場が裏返しなんですよね。
<<目覚めのアリス>>の特性上、容赦なく殺すことが出来るのは蒼衣の方であって、取捨選択権も彼が握っているわけです。故に彼女は蒼衣に対して「殺す」という言葉を多く投げかけるのは、そういう状態に対する抵抗と見て良いような気がします。でも、やっぱり雪乃も蒼衣に惹かれてしまうんでしょうねぇ。それで共感した彼が何らかの理由で拒絶する事態に陥る……
このシリーズの落とし所もその辺になるのだと予想できるのがちょっと減点かな、と。


程よくまとまっているので安心して(ホラーなのに安心とはこれいかに?)読める一冊。
でもシリーズとして見ると、まだ前作を超える水準には達してないかと言うのが現時点での評価ですか。今一つ精細を欠いた感じを受けます。やっぱり怪異モノで完全解決してしまうスタイルって言うのは損をしてるかと。どうにもならないものであるからこそ怪異に対する恐怖心を掻きたてられるわけで、こうやって原因を完全に殺してしまうとそこから先の楽しみが減ってしまう気がする訳ですな。。
今後はどういう感じで話を展開していくのか、じっくり見ていきましょう。

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テーマ : ライトノベル - ジャンル : 小説・文学

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